世直し
朝日新聞、毎日新聞の読者の皆さんにお勧めの読売新聞編集手帳より:

鏡に映る像は、左右が逆でも、上下は逆にならない。科学オンチを暴露するようで疑問を口にしたことはなかったが、いつぞや物理学者、朝永振一郎氏の文章を読んで安心した覚えがある*随筆集「鳥獣戯画」(みすず書房)によれば、博士が理化学研究所にお勤めの頃、鏡の左右上下が職場の話題になり、<ひるめしのあと、研究室の連中が甲論乙バクいろいろ珍説がでた>という。鏡とは科学者にとっても不思議な物であるらしい*”内閣カー”を運転する「仮免許」を卒業し、めでたく「本免許」を取得したという菅首相は、もしかすると、鏡に映った道路に車を走らせているのかも知れない。*尖閣事件をめぐる中国人船長の釈放や映像流出など、政治の出る幕には官僚の陰に隠れている。そうかと思うと、官僚に開門の影響を十分に検討させるべき国営諫早湾干拓事業(長崎県)のような、まだ出る幕でない場面で政治が出てくる。右かと思えば左、左かと思えば右、見ていて危なっかしくてならない。*国民の目に映る菅内閣の像が、いずれスッテンコロリン、上下まで逆になってしまわないか心配である。

読売新聞12月16日朝刊 編集手帳より